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ふるさとトピックス

Step By Step vol.32

本当の美しさは身体の中から

『人とのつながりが夢を広げる』


 現在、ハンドメイドスイーツカフェのオーナーとして、ホールに立ち接客をし、商品開発に携わっている小川さん。静岡には魅力的な食材がたくさんあると語り、「地産地消」を目指している。
 女性のお客様が多いため、女性が一人でも気軽に通える店、バランスを考えて満足できる食事、ホッと癒されるスイーツの提供を目指して、日々笑顔で仕事をしている小川さん。
 現在に至るまでの道のり、これから挑戦していきたいことなどを伺いました。

人とのつながりが夢を広げる

現在のお仕事について教えてください

 静岡市葵区伝馬町にハンドメイドスイーツカフェ「すずとらcafe」と、清水区興津に菓子工房「すずとら 菓子工房」を出店し、オーナーとして2店舗を切り盛りしています。提供しているスイーツ、焼き菓子、食事はすべて心を込めて手作りしています。メニュー決め、ホールでの接客、調理場での作業まで幅広く携わっています。

どのような経緯で現在に至りますか

 私は高校卒業後、建設業で事務員として12年勤めました。仕事は好きだったのですが、建設業という業種はまだまだ男性社会だったため、この場所で働き続けることができるのか、漠然と不安に感じ、手に職を付けておきたいと考えるようになりました。
 25歳の時、女性なら誰しもが願う“キレイになりたい”という想いが強く芽生え、初めてエステサロンに通いました。しかし、当時は高額で、大手の会社が手掛けているようなところばかりで、お金を掛けても満足が得られず、途中で通うのをやめてしまうケースも多くありました。そんな時に1:1で施術をしてくれるエステサロンと出会い、とても癒されました。ゆったりした空間の中で、お客様が満足し、通い続けたいと思えるエステサロンを開きたいと強く思い、仕事をしながら夜間の専門学校に通い、エステティシャンの資格を取得しました。
 そして30歳を迎えた時、ОLの仕事もやりきり、自分の手でエステサロンを開く第一歩を踏み出そうと決心しました。自宅でサロンを開き、初めの1年はいろいろと苦労しましたが、だんだんとお客さんがつき、軌道にも乗ってきた時に気づいたことがありました。それはエステで表面上はキレイになってもらえても、本当の「美」は身体の内側から作るものだということでした。そして内面からきれいになるためには日々の「食事」が大切だということに改めて気付いたのです。

飲食業を始めたきっかけは

 その後、自宅で始めたエステを静岡の街中に移転させました。この時にお店の向かえに食事も美味しく、素敵な喫茶店があったのですが、閉店するという話が飛び込んできました。この時私は、お店を無くしたくないという気持ちと、女性が内側からキレイになれる「食事」を自分で提供したいという想いが重なり、喫茶店の跡地でカフェを開くことを決めました。
 私は静岡の山間部、俵峰地区(玉川方面)で育ち、実家は農家でした。澄んだ空気、おいしい水、自分たちで作った物を食べて育ちました。幼い頃から土いじりをし、農業を手伝っていたので、“食物”を育てる大変さ、ありがたみは人一倍感じていたと思います。育てた物のそれぞれの良さを料理で最大限引き出しながら、提供したいと想いました。
 母が調理師免許を持っていたため、母の力を借りて、実家で育てた物を毎朝玉川から運び、栄養バランスを考えたメニューを考えました。

エステ業と飲食業の二足のわらじで苦労したことは

 エステのお店とカフェは近くに位置していたため、すぐに行ったり来たりできる距離でした。エステのお店を拡大したこともあり、私はエステ業に携わることが多く、カフェは母に任せることが多かったですが、女性が一人で通えるお店を目指し、採れたての野菜を使って、美味しい食事を提供するために試行錯誤の日々でした。
 私自身が年を重ねるにつれて、バランスのよい食事を取ることが「元気の源」であり、「美を保つための第一条件」だと身をもって感じるようになり、13年続けたエステ業を終えて、カフェ一本でやっていくことにしました。40歳を過ぎた頃、食に関するあらゆる知識を学ぶために専門学校に通い、「食育マスター」の資格を取得し、新たなスタートを切りました。

“すずとら”というお店の名前の由来は

 6歳の頃に父を亡くし、女手一つで私と妹を育ててくれた母に何らかの形で感謝の気持ちを残したく、私の旧姓が「鈴木」、母の寅年を合わせて“すずとら”と名付けました。
 また、私はネコ好きで飼っているのですが、お店で使っているネコのイラストは、私の飼い猫がモデルとなっています。寅はネコ科なのでネコをモチーフにしました。

“すずとら”の特徴は何ですか

 まずは食事もスイーツもすべて手作りということです。お米は雑穀米を使用し、野菜たっぷりのメニューを考えます。女性のお客様が多いので、女性にお腹いっぱい、満足してもらえるように、日替わりでメニューを決め、スタッフが手作りでメニュー表を作っています。メイン料理はもちろん、副菜にもこだわって、食べ応えのある栄養バランスを考えたものを出しています。
 スイーツは、出すにあたって何かに“特化”したものを出したいと思いました。スイーツの中でも“チーズケーキ”の人気が高かったため、チーズケーキを全面に出して“すずとら”の主力商品にしていくことにしました。常時作っている定番商品から、毎月、季節に応じた旬な材料を使って、その月限定のチーズケーキを作っています。

“すずとら”を始めて気付いたことはありますか

 静岡には美味しく、魅力的な食材がまだまだたくさんあるということです。
 “すずとら”は興津に築100年を超える古民家をリノベーションして、テイクアウト専門のお店を構えています。この時にJAさんと出会い、生産者の方とのつながりができました。すると、今まで知らなかった品種を知ることができたり、食材の活かし方、調理方法などを教えてもらう機会が増え、勉強になることが多々ありました。静岡にも魅力的な食材がたくさんあり、できる限り地場のものを使い、地産地消を目指してやっていきたいと考えるようになりました。“すずとら”の食事もスイーツにも静岡で作られた食材をたくさん使っています。お客様にも食材の紹介をメニュー案内と共に行っています。興津に店を出していなければ、人との出会いもなく、静岡の食材に目を向けることも少なかったかと思うと、人との出会いは大きく影響するなと感じています。

お店を始めて苦労したことは

 飲食店の経験なしで、思いのまま始めました。私よりもはるかに知識や経験のあるパティシエなどに指示を出さなければならず、スタッフとの人間関係の築き方に初めは悩みました。そんな時に母が側にいてくれたので、心強かった記憶があります。
 現在は、経営者としてできる限りホールに出て接客し、お客様の反応を自分の目で見るようにしています。献立決めや試食会などにもできる限り入りますが、パティシエに任せるところは任せています。ホールには『すずとら通信』を置いています。スタッフの考えや思いを尊重した手作りのチラシです。
 過去に悩んだ経験があるからこそ、今、各人が持っている能力を活かせるよう、指示を出し、時に見守り、私自身が先頭を切って新しいことにチャレンジするなど、スタッフ全員で“すずとら”を盛り上げていこうと思えるようになりました。

お店を始めてうれしかったことは

 「人」との出会いです。ランチに関しては日替わりなので、毎日楽しみに通ってくれる方もいます。通ってくれていたお客様が静岡を離れてしまっても、帰省した時に寄ってくれた時には本当にうれしいです。
 食事もスイーツも皆で意見を出し合いながら試行錯誤で作っているので、“美味しい”と笑顔で食事をしている姿を見れると、心からうれしく、ホッとします。

今後どのようなお店を目指していきたいですか

 興津にお店を出したことで、JAさんとのつながりができ、生産者の方々と知り合うことができました。生産者の方との出会いによって静岡にはまだまだ魅力的な食材がたくさんあることを知りました。静岡のいい食材が埋もれてしまわないように、積極的に地元の食材を使用して料理をし、アピールしていきたいと思っています。現在、ケーキに使用した果物の特徴等を他の品種と比較しながら紹介するチラシなども作っています。
 “すずとら”を続けてこれたのも、スタッフのおかげです。スタッフは全員女性のため、女性が働きやすい環境を整えて、長く働いてもらえるように、コミュニケーションを大事にしていきたいと思っています。

最近新しく始めたことはありますか

 “静岡みやげプロジェクト”に参加しています。これは何社かが集まって、地域資源を活用し、新しい視点で商品開発(既存品の改良)をするプロジェクトです。静岡市を代表するお土産や観光資源になることを目標に勉強会や販売イベントを行っています。
 “すずとら”の主力商品はチーズケーキですが、生もので日持ちしないため、手作りの焼き菓子で“すずとら”をアピールしています。種類を増やし、マスコットのネコを取り入れながら、地元の食材を使用しながら商品開発を行っています。地元のものを使うことで、静岡を元気にしたいと思っています。
 “すずとら”の焼き菓子を静岡からお土産として持って行くことで、地方の方にも知ってもらい、静岡に来た時にはカフェに足を運んでもらえるようになれば大成功です。

【Off Time】 「食」を楽しむ

気分転換の方法は

 主人と美味しいものを食べに行くことです。人が作ってくれたものは美味しいです。飲食業を営んでいる知り合いも多いので、知人の店に食べに行くことも多いです。食べることは元気の源です。そして美味しいものを食べると幸せな気分になれます。

日頃大切にしていることはありますか

 「感謝する」ということです。私は自己啓発本を読むことが好きなのですが、以前読んだ本の中に、“自分が1つ他人にやってあげたことがあるすると、37人から何かをしてもらっている”と書いてありました。人は誰かにしてもらったことよりも、誰かに何かをしてあげたことの方が印象に強く残りがちです。お互いがいろいろな点を補いながらやっているということを忘れないようにしようと思っています。
 スタッフのおかげで“すずとら”があり、来てくれるお客様がいるから“すずとら”がある。とにかく「人」に尽きると思います。関わるすべての人を大切に、感謝の気持ちを忘れずにこの先も仕事をしていきたいと思います。

プロフィール

小川 陽子 (おがわ ようこ)

静岡市出身

OLとして12年働いたのち、エステの勉強をして資格を取り、エステ業を営み、現在は“すずとらcafe”と“すずとら菓子工房”のオーナーとして毎日忙しくとも充実した日々を送る小川さん。
知識・経験がなくとも、1から学び、人とのつながりを大切に仕事をする。
お客様が喜び、満足できるものを提供し続けられるように、そして、静岡のすばらしい食材をもっとアピールしていくことが目標と語る。

“すずとらcafe” take out / cafe
静岡市葵区伝馬町10-1 ヴィラ伝馬町2F tel 054-251-0200
10:00~22:00(日・祝~21:00) 定休日:なし

“すずとら菓子工房” take out
静岡市清水区興津中町103 tel 054-369-2436
10:00~17:00  定休日:水曜日
                  (取材日 H29.1.17)