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ふるさとトピックス

Step By Step
vol.10

人生おかげさま。

『誰かに必要とされることの喜びを感じてみませんか?』


 8人兄弟の長女として、現・牧之原市(旧相良町)で生まれた辻さんは、幼い頃から手芸をたしなみ、弟や妹、自分の服作りを趣味にしていました。その後71歳にして、講師の資格を取得し、77歳のとき、初めて生徒の皆さんと展示会を開催する等、現在も勢力的に活動しています。今回は「教室を盛り上げるためにも、2年ぶりに展示会を企画したい」と願う、辻さんの日常に迫ります。

【On Time】 人に喜んでもらえることに、喜びを。

幼い頃から裁縫に興味がありましたか?

 私は子どもの頃から細かな作業が好きで、裁縫の先生をしていた母と一緒に手芸をするのが楽しみでした。小学校のときに第2次世界大戦が終結し、洋服のない時代だったので、父にミシンを買ってもらったのを機に、弟や妹の下着や服を作り、高校入学時には自分の制服を仕立てました。高校では家庭部に所属し、結婚後も4人の子どもの衣類や学校の持ち物等を作ったり、身の回りの物に刺繍をしたりしてきましたが、作品としての刺繍を始めたのは、50歳を過ぎてからのことでした。

作品を製作し始めたきっかけは何ですか?

 デパートで鑑賞した刺繍の企画展に感銘を受け、公民館の手芸教室へ通い始めたのがきっかけです。それまでは独学で、本を参考にしながら刺繍をしていましたが、東京在住の先生から複雑な縫い方や都会の流行を学ぶうちに、その世界にすっかり引き込まれました。
 70歳のとき、先生から「どなたか作品を日本手芸作家連合会のコンテストに出展してみませんか?」という案内があり、自分の実力を疑いながらも応募してみたところ、思いがけず初めてにして、アイデア賞を受賞することができました。

その勢いで講師の資格も取得されたということですか?

 はい。入賞したことによって、刺繍に対する意欲が高まり、70歳のとき講師の免状を取得しました。現在も作品の製作を続けながら、教室を開いており、近年では、80歳の誕生日を記念し製作した「80歳誕生日のパーティードレス」が心に残る作品のひとつとなっています。
平成26年の個展開催時に書いた詩「刺しゅうのこころもち」
自分で作ったものを 自分で持ちあるくときの よろこび うきうき
あの人にあげたい 持ってほしいと 思いついたときの よろこび ときめき
1針さし始めるときの きんちょう よろこび
思いをこめて 時間をかけて 完成 さする気持ちで ながめる よろこび 充実感
喜んでもらえることを 思いえがくときの よろこび わくわく
この手づくりの よろこびに 熱中出来るよろこびに 感謝

辻さんの原動力となっているものはなんですか?

 私の原動力は、人のお役に立ったり、誰かに必要とされたりすることで生まれます。1995年に起きた阪神淡路大震災を機に「私ができることは何だろう?」と考え、ささやかですが、特技のミシンと編み機を使い一人で出来るボランティアを始めました。それから20年、静岡、会津、山形の福祉施設に毛糸のベスト、マフラー、給食袋を寄贈しています。
 また、4年前から地域の子どもたちに刺繍を通じて、「物の大切さ」、「手作りの面白さ」を伝えています。子どもがビーズを付け、刺繍をし、給食袋に仕立てたときの嬉しさと自信に満ちた顔に私も元気をもらっています。物があふれ、お金を出せば何でも買える時代だからこそ、子どもたちが自分で作ったものを使う喜びは格別だと思っています。

【Off Time】 思い立ったが吉日。

気分転換の方法を教えてください。

 私は信頼できる友人と、食事をしながら、話をすることで気分転換をしています。刺繍は我を忘れてしまうくらい、集中できる魅力的な趣味ですが、月1回程度、友人と交流を深める時間があると、なお、リフレッシュできます。
 また、私は刺繍に限らず、中国語、ラジオ体操等、色々なことにチャレンジしてきました。「思い立ったが吉日」という言葉がぴったりで、自分を物に例えるなら、「ブルドーザー」のように何でも寄せ集める性格だと思っています(笑)

リフレッシュできるお気に入りスポットを教えてください。

 海です。生まれ育った家から海が近いということもあって、子どもの頃は海で遊んだり、塩作りの手伝いをしたりしていました。特に相良の海が好きで、海の深い部分の色を見たり、海に足を浸けたりするとそれだけで気持ちが落ち着きます。亀が海に帰って行くように、私も親しみのある海に気持ちが引き寄せられるのかもしれません(笑) これまで「海」をテーマにした刺繍をしたことがないので、今回の取材を通じて挑戦してみたくなりました。

◆ ◇ ◆ 輝く女性のお気に入りスポット ◆ ◇ ◆

人生で大切にしていることはなんですか?

 あっという間に80歳を過ぎてしまいましたが、とにかく何事も一生懸命に取り組んできました。色々なことにチャレンジもしましたが、まずは主人の仕事がスムーズに進められるように協力し、主人の笑顔を見ることが私にとって喜びでした。主人の仕事が順調に進むことで、我が家の暮らしもより充実したものになった、と感謝しています。
 また、今の私があるのは周囲の支えと健康による賜物と思っています。特に家族には感謝しており、温厚な主人と、4人4様、様々な喜びを与えてくれる子どもたちに支えられ、おかげさまで今は気ままに、毎日を過ごしています。
 私は、子どもは空に浮かぶ凧のような存在だと思っています。凧は糸を引くと、数秒後に反応して、高い空でふわっと浮かぶように、「子どもと住まいは離れていても、親子の心は近い」と感じるからです。数年前に病気をした際も、子どもが落ち込んでいた私を気遣って、「刺繍をするには、手が自由でないと難しいよね。今回病気をしてしまったけれど、手が無事だから良かった、と思えば、感謝だね」と言ってくれました。子どもは凧のように、私を上から見守ってくれていると思っています。

My First Step ~私に人生の新たな一歩を与えてくれた人~

 友人の田代文子さんです。

 子どものPTAがきっかけで知り合い、40年以上の付き合いになりますが、彼女の発言にはいつも刺激をもらっています。尊敬できる存在で、私に気づきを与えてくれるのも彼女です。彼女のおかげでボランティア活動に関心を持つようにもなりました。

プロフィール

辻 禮江(つじ ゆきえ)

静岡県相良町生まれ。
小さな頃から母と一緒に裁縫をするのが好きだった辻さんは、50歳のとき、公民館の刺繍教室へ通い始めた。60歳から本格的に教室へ通い、71歳のときに講師の資格を取得し、現在も作品の製作活動を続けている。次なる夢として、「再び展示会を開催し、教室を盛り上げたい」と願っている。

次回の輝く女性は・・・

山本妙子さんを予定しています。

大学でデザインを学んだ山本さんは、県外の住宅リフォーム会社に3年間務めた後、ご主人と共に生まれ育った静岡市へ戻り、実家のリフォーム会社に入社しました。その後、4人の男の子に恵まれ、仕事の他にも子供の部活、PTA、商店街の事など地域の活動に積極的に参加してきました。仕事で、情報誌「ぱんぷきん」を作成したり、子供の試合のビデオを編集したりするなど、得意分野を活かして活動を楽しんでいる山本さんの日常に迫ります。

今回の取材スポット

ヨーロッパ刺繍教室

辻さんが講師を務める教室で、現在約15名の生徒が所属しています。月1回もしくは2回、自分の都合に合わせてペースを選ぶことができます。最近では、刺繍に関心のある子どもたちが夏休みと冬休みに集まります。

住所 静岡市駿河区小黒2丁目1-20