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ふるさとトピックス

Step By Step
vol.5

自然と共生する暮らしに魅せられて。

『日常生活において、季節のうつろいを感じていますか?』


 大学卒業後、静岡市内の出版社においてカメラマンをしていた原田さんは、2008年に静岡市の山村「玉川」を訪れ、その素晴らしさを知ります。さらに、玉川の魅力を伝えるための活動(イベントの開催、季刊誌の発行など)を通じて、すっかり玉川に魅了され、2014年春には「株式会社玉川きこり社」を設立しました。自然と共生する暮らしを伝承し、街に住む子どもたちに自然の豊かさに触れてもらおうと注力されている原田さんの日常に迫ります。
<静岡市葵区玉川>
 静岡市の安倍川上流にある地域(静岡駅から玉川入口まで車で約40分)。人口1,057名【平成26年4月現在】
 過疎化・高齢化が進む中山間地域。

【On Time】自然と共生する暮らしに魅せられて。

なぜ玉川地域での起業を考えましたか?

 玉川と出会って、自然と共生する暮らしの豊かさや自然の美しさ、生活の知恵などを「人に伝えたい」と思うようになったからです。当時、仕事で制作していた情報誌においてこの願いを叶えたいと思いましたが、特定のメディアで実現するには限界があり、2年程前から起業を考え始めました。
 当面はかつて玉川の基幹産業であった林業に着目し、木の6次産業化に向けて「きこり事業」に注力したいと思っています。あわせて次世代を担う子どもたちの生きる力を育むため、子どもを対象にしたきこり塾を実施予定です。
 ひとつの集落として存続し続けていくため、また雇用という観点からも、地域内での経済的な自立はとても大事なことだと思っています。

昔から自然が好きでしたか?

 父が10年程前、愛知県の山奥「鳳来町」にある古民家を購入し、家族で山へ遊びに行くようになりました。そのときに初めて山の家に魅かれ、自然に関心を持ちました。玉川の環境はその経験に近いものがあるように感じています。

起業して半年間が経ちましたが、玉川の暮らしを楽しんでいますか?

 起業と同時に玉川へ引っ越してみると、街中での生活と違って季節の巡りを感じられるようになりました。
 「そろそろ、お茶の収穫時期がやって来る。梅が獲れるようになってきたな。金木犀のにおいがする」など、五感を使って、玉川の暮らしを味わっています。

 起業して間もない頃は仕事に追われ、食事もままならない日が続きました。そんな私を見るに見兼ねて、お世話になっている玉川のお母さんが昼食を届けてくださったり、釣りの好きなおじさんが魚を釣ってきたからと飲み会に誘ってくださったり、幸せな生活を送っています。励ましてくださる方にも恵まれ、本当に感謝しています。

日頃から大切にしていることはありますか?

 まずは地域と共に歩んでいく姿勢です。玉川の時間の流れは想像以上にゆっくりです。足並みを揃えるとまでは言わないものの、玉川の方々と一緒に進めていかなければ意味をなさないので、よそ者である私たちのペースで事を進め、想いを押し付けてしまうことのないよう、スピード感を大切にしています。
 次に地域の集会に参加することです。玉川には23集落あるため、同日に行事が重なることも多く、その場合には全てに顔を出せないのが難点です。しかし各集会に出向くと新たな人間関係が生まれ、楽しい時間を過ごすことができます。

【Off Time】 自分の気持ちと向き合うひととき。

気分転換の方法を教えてください。

 日頃から人や物と向き合うことが多く、自分のことを省みる時間が不足しがちです。リラックスしたくなったときには、いつか保育園を開きたいという夢を叶えるため、社会人になってから習い始めたピアノを弾いています。玉川のことを考えている時は、そこには必ず相手がいます。しかしピアノを弾いているときには、その場に私とピアノしかなく、自然と自分の気持ちと向き合うことができます。

リフレッシュできるお気に入りスポットを教えてください。

 私は富士山が大好きです。情報誌において富士山特集を制作していた期間は、玉川以上に足を運ぶ回数が多かったほどです(笑) 特に田貫湖からの眺望が好きで、朝焼けで真っ赤に染まった富士山が脳裏に焼きついています。オレンジ色に輝く空と湖が色鮮やかでとても美しい景色でした。

田貫湖の場所はこちら

小さな頃から写真を撮ることが趣味でしたか?

 写真を撮り始めたのは大学3年生のときでした。イギリス留学を機にカメラを購入し、約1年間、語学と写真について学びました。さらに遡ると高校3年時に写真家「ロベール・ドアノー」の写真展を観に行ったのが写真家に憧れたきっかけでした。それまで芸術の分野にはさほど関心のなかった私ですが、彼の作品に衝撃を受け、進路として写真について学べる大学を検討したほどでした。しかし、理系のクラスに在籍していたことに加え、周囲の賛同を得られず、選んだ道は森林資源科学科でした。今まさに知りたい分野なので、もっと勉強熱心な大学生であれば良かったかもしれません(笑)

最後に、このページをご覧になっている女性にメッセージをお願いします。

 私が「人に伝える」という行為を『楽しい』と思ったのは情報誌の制作を始めてからでした。出版社で働き始めたときは、ちょうど気弱になっていた時期で、カメラマンとしても、仕事に対する意欲も高いとは言えませんでした。しかし出版社に勤務したことによって、写真を撮らなければならない状況があり、さらには人に何かを伝えることに面白味を感じ、「これは天職かもしれないな」と、自分の適性を知ることもできました。
 偶然出会った玉川では、人間本来の豊かさを感じました。決して利便性の良い場所とは言えませんが、玉川の自然、人と接するうちに田舎暮らしの魅力に気づきました。
 そして今、街中での便利な暮らしから少し離れて
みて自分に足りないものがある度に、周囲に支えられていることを感じています。
 日常生活にありふれている小さな「きっかけ」を大切にすることで、自分にとってかけがえのない「縁」が生まれると思っています。

My First Step ~私に人生の新たな一歩を与えてくれた人~

 浦田きみゑさんです。

 私が玉川に強く魅かれるきっかけをくださった、ちいさなおばあちゃんです。きみゑさんの生活の中心には薪ストーブがありました。きみゑさんのもとに、カメラを持って3年間通い続け、薪ストーブのある暮らしに強く憧れを持つようになりました。木がエネルギーとして使われ、森という資源が循環する山の暮らしに魅せられています。

プロフィール

原田 さやか(はらだ さやか)

愛知県豊橋市生まれ。写真家。
大学入学を機に静岡へ。仕事を通じて玉川のおばあちゃんと出会い、静岡市の山村〝玉川〟を知る。代表を務める安倍奥の会の活動(イベントの開催、季刊誌の発行など)を通じて、玉川の魅力を伝えるとともに、2014年3月には株式会社玉川きこり社を設立。「世界に誇れる玉川美林を育てたい」という思いを胸に、木の6次産業化を目指して奮闘中。
HPはこちら。 しずおかの田舎暮らし

次回の輝く女性は・・・

武馬千恵さんを予定しています。
調理師学校卒業後、レストランやカフェに勤務していた武馬さんはその後青年海外協力隊に参加し、途上国で村の女性たちに料理を教えました。
現在はJICA静岡県国際協力推進員として国際協力のイベントなどを開催。また、協力隊時代にホストマザーに教えられたジャム作りに感動し、現在、「シズオカ×セカイ×つなぐ Lier(リエル)」として静岡県内の果物を使ったジャムを販売している武馬さんの日常に迫ります。

今回の取材スポット

栃木の家(とちきのいえ)

原田さんが所属する市民の有志団体「安倍奥の会」の活動拠点。玉川をより多くの人に知ってもらおうと、イベント等を開催している。

住所 静岡市葵区長熊1508

※イベント等、活動の詳細については公式ホームページをご覧ください。